中途解約条項について Cancellation/Early termination Clause
日本からいらした方にわかりにくいのが、中途解約条項ではないでしょうか?
日本の賃貸契約では、引っ越す場合は一か月前に「契約の解約」をオーナー側に伝えれば契約途中の解約が可能な場合が多いと思います。
アメリカではそうはいきません。
賃貸契約書に中途解約条項が入っていなければ、契約期間中のお家賃の支払い義務は契約満了日まで続きます。(テナントとしてこれを避ける必要がある場合は、色々交渉を試みることになりますが、簡単ではないとご理解ください)
つまり、基本は中途解約出来ないのが当たり前の契約に、中途解約条項を入れてもらうこと自体が「特記事項の交渉」が必要ということになります。
交渉相手が個人オーナーの場合はともかく、賃貸専用アパート会社等の場合は、ほとんどの場合交渉は出来ないとお考え下さい。
「そんな交渉した覚えはないけれど、ちゃんと中途解約条項入っている」という方は、借主エージェントが当然の事としてオファーの際に確認をしているのです。
オーナーによっては、断固として「認めない」「それならオーナーからも中途解約出来ないと不公平」と言い出す人もいます。
つまり、ご転勤により契約途中で解約が必要となる方の場合は、物件探しの第一条件が「中途解約条項をつけられる物件」と言うことになります。
・駅徒歩物件
・ランドリーが地下じゃない
・バスタブ必須
云々
ということではなく、あくまで第一条件は「中途解約可能な物件」です。
さて、実際この中途解約が必要になった場合の事前告知期間についてですが、2か月前から3か月前が多いと思います。または契約書には60日前や90日前と書いてあるかもしれません。(同じ意味です)
これは、(特別な契約にしていない場合は)告知をした日から「数えで〇〇日前という意味ではない」とをご理解ください。
つまり、本日8月11日にオーナーに告知をしたとして、お家賃の支払い義務がなくなるのは、2か月前告知が必要の場合は11月分から。3か月前告知が必要の場合は12月からとなります。
なんだか、随分先のような気がしますね。何故Full Month〇〇か月が必要なのか?数えで〇〇日ではだめなのか?
これには、こういう意味があるようです.........
「大草原の小さな家」 というテレビ番組をご存知でしょうか?
昔々のアメリカでの賃貸というのは、このドラマの主人公一家のお父さんが大草原に家を自分で建てたように、「土地を借りて自分で家を建てる」ということが多かったそうです。
広大な土地のアメリカですから、土地を借りる「賃料」は当時でもそれほど高いものではなかったようです。
そこで、「家賃」というのは年払い一括。が主流だったそうです。
ところが、その後現在のように上物も一緒に借り家賃も高額になると年払いという訳には行きませんね。そこで、テナントの便宜のため「月」単位の分割払いになってきたそうです。その名残が契約書の一文に見られます。(下の赤線部分)
つまり、一旦契約がスタートしたら物事の考え方=「家賃の支払い」「告知期間」などすべて「月単位」Full Calander Monthが必要となったという経緯があるようです。(諸説あるかもしれません)
中途解約については「大草原の小さな家」が絡んでいると覚えて頂くと、急な異動命令でオーナーに契約解約の告知をする際役に立つのではないでしょうか?
ちなみに、中途解約時に1~2か月分の解約費がかかったり、次のテナントを見つけにくい冬場の数か月間は中途解約は不可という条項も多いですが、契約時の市況にもよると思います。
★賃貸契約書について
オーナー側が作成します。上記のBlumberg社の物はよく使われますが、オーナーがインターネットからダウンロードしたり、稀ですが手書きの場合もありますが「それは困る」とは言えません。また、規制の物だとSingle Family用・Multi-Family用・Condominium用などひな型が各種あります。