ニューヨーク郊外・家のなんでも

ニューヨーク郊外のウエストチェスターNY・グリニッチCT等から家のあれこれや荘園不動産の日常をお届けします。

オクタゴンハウス

19世紀のクリスマス

 

19世紀半ばにアメリカではたくさんのオクタゴンハウス(八角形の家)が建築されたそうです。

 

ハドソン川を望む3エーカーの敷地に建つオクタゴンハウス

 

膨大な時間と費用と労力をかけてハドソン川にほど近いアービントンに復元された、The Armour-Stiner (Octagon) Houseの19世紀風クリスマス装飾の室内を見せてもらう機会がありました。

 

 

八角形の家は日当たりも風通しもよく体にいいとされていたそうです。

 

 

 

簡単にはとても語りつくせない程数々の歴史を経て、1975年には建物の状態が解決不可能なほど悪くなっていたそうです。そこでその後どうするかについて色々な案や解決方法を模索したようです。

 

 

1)デベロッパーがオクタゴンハウスを破壊し3エーカーある土地を1/2エーカーずつに細区画する方法。

 

2)オクタゴンハウスを存続させることに共鳴した購入者が見つかったとしても、この建物の状態だと、金融機関はモーゲージを出したがらないだろう。

 

3)今にも崩れそうなドーム部分の構造欠陥を改築する難工事が出来るのか、また膨大な費用もかかるけれど、それが出来る人物がいるのかどうか?

 

 

The National Trust for Historic Preservation https://savingplaces.org/

がオクタゴンハウスの状態と保存を憂慮し$100,000で一旦購入後、多くの注文・条件をつけて歴史的遺産保護で著名な国際的建築家である、現オーナーの Joseph Pell Lombardi氏に1978年に$75,000で売却をしました。

 

時間軸的にかなりタイトな条件もありましたが、Financialな条件も以下の通り:

Sold Price: $75,000.00

Downpayment: 35%  

Mortgage: 65%分は20年返済で8%の利息であること。

 

 

Lombardi氏にとっても、大変難しい案件であり失敗したら自分の評判にも関わるため、この大プロジェクトは慎重を期して始まったそうです。

 

グラグラしていたドームの固定と雨漏り修理からこの難工事が始まったそうです。

ドームの修復は大変な難工事だったそうです。

 

ドームをケーブルで引っ張り固定する工事に3年かかったそうです。

 

 

過去のオーナー達や、近隣住民など多くの人にインタビューをして中も外も出来る限りオリジナルのオクタゴンハウスに修復したそうです。

今は、19世紀の内装仕上げでかつ、現代の利便性を整えた素晴らしい邸宅です。

 

 

 

Salon, Formal Living Room

 

子どもの頃この部屋で寝転がって空の絵を眺めていたという人に「まだ鳥も飛んでいるの?」と聞かれ、修復時に鳥を書き足したというSalonの天井画。

 

さて、19世紀のクリスマスの飾りつけがされた室内を御覧ください。

 

 

 

<一階>

 

エントランスホール

 

一階 Formal Living Room (Salon)のクリスマスツリー



 

 

Salonの椅子は豪華なドレスのスカートの女性が座る時に邪魔にならないようひじ掛けがなかったそうです。

 

 

Formal Dining Roomでは、クリスマスディナーの準備が

 

典型的なクリスマスディナーの献立
食器は日本製だそうです。

 

 

 

大きくゴージャスではないけれど、とても美しいシャンデリア

 

 

キッチンも当時を再現しつつ、現代でも不便なく使えるように工夫してあります。

 

 

フライパンまで八角形

 

冷蔵庫(中には電子レンジも入っているそうです)

 

Kitchen (オリジナルは地下にもキッチンがあったそうです)
現代よくある広いオープンキッチンと比べると随分小さいです。

 

 

一階の角部屋は三角なので当然カーペットも三角形

一階とベランダの間取り図

 

 

<二階>

 

NurseryやSitting Roomを入れて、二階にはBedroomが6つ

 

Sitting Room この家はサマーハウスだったので暖炉がなく、クリスマスの靴下は窓際につるしていたそうです。

 

 

ガスのランプ。下部のランプは上下するが気をつけて動かさないとかなり危険とのこと。

 

八角形のテーブル状のもの

 

これはお裁縫箱。ランプの下で刺繍でもしたのでしょうか?

 

Primary Bedroom

 

19世紀半ばには高価な家具ではないIKEA風の家具が流行って来たそうです。フラットな表面にペイントを施すタイプ。現オーナーは苦労と激闘の末、オークションでこの家具をやっと手に入れたとのこと。

 

 

Bedroom

 

 

 

Bathroom こればかりはほとんど現代の資材で改装したそうです。

 

 

 

二階の間取り図

 

<三階>

 

雨漏り被害がひどかった部屋

 

同角度からの撮影。現在はEgyptian Revival Roomと美しい部屋になっています。

 

 

細部までこだわったエジプシャンテイスト

 

 

 

オーナーのかなりすごい趣味の部屋(これも季節で展示品が変わるそうです)

 

拙者の苦手な展示物はなるべく写らないに撮影しています。

 

19世紀からクリスマスカードを送るという習慣が始まったそうで、カードの周りにグースフェザーが飾り付けられている物もあったようです。

 

トレインルーム(Bedroom)

 

三階の間取り図

 

<四階>

 

四階のダンスルームと五階の展望室は、アービントンの役所から安全上の問題で内見は不可とのお達しがあるそうで、上がれませんでした。

 

 

Dance Room

 

Dance Roomから螺旋階段を上がると展望室に行けるそうです。

 

 

過去家具付き賃貸物件としてマーケットにも出たことがある住宅なので、この印象深い外観はご存知の方も多いと思います。

 

内見をしてみると、実に効率のいい間取りで便利な工夫がされている本当にユニークな住宅だと思いました。現在は、全館冷暖房・(ガス暖房)で住み心地はいいのではないでしょうか?

 

オクタゴンハウスは個人宅ですが、世界中に複数の自宅を持っているオーナーであるため、常時ここに居住しているわけではありません。

 

真上からみた屋根