ニューヨーク郊外・家のなんでも

ニューヨーク郊外のウエストチェスターNY・グリニッチCT等から家のあれこれや荘園不動産の日常をお届けします。

駐車場惨事から

Certificate of Occupancyとは??

 

 

 

昨日(4/18/23) はダウンタウン・マンハッタンで1926年にCertificate of Occpancyが発行された駐車場ビルが倒壊し、駐車場のスタッフが亡くなりその他数名のケガ人が出たと大きく報道されました。

 

 

 

郊外にも古い駐車場はありますが、マンハッタンには星の数ほどある古いふるい古~い駐車場ビル。

 

ビル内を車が移動すると振動するし、重量もあるし、普通のビルより当然頑丈さが必要ですね。

 

見慣れた駐車場の入口に車が垂直に落下しているところで活躍するロボドッグ

 

FDNY Fire Department New Yorkのロボドッグ

 

 

話はそれましたが、1926年にCertificate of Occupancyが発行されたとはどういう意味でしょうか?

 

 

全米のすべての町でこの制度があるわけではないようですが、NYCもウエストチェスターNYもフェアフィールドCTでもローカルのBuilding DepartmentやZoning Departmentがそれぞれの町の規則にあった「居住するに安全」「使用するに安全」な建物であるという事の証明として発行するものです。

 

 

新築時、改装時にはBuidling DepartmentやZoning Departmentにお伺いを立て、建築家のプランをつけて、工事の承認を待ちます。許可が下りるまで実際の工事は出来ません。ローカルコードに適った完璧なプランが必要です。

 

 

検査官は「あなたの安全を一番に考えています」と言います!

 

 

 

工事の途中で検査が必要な改装工事もあります。(町によって異なります)

 

 

 

例えば、バスルームの改装。

 

 

 

壁の古いタイルを外して、新しいタイルに貼りかえる(ことはよく行われますが)Building Departmentの許可を取り、壁を壊したら、断熱材の検査(検査官が見に来る)断熱材が合格し、壁を仕上げ、一方プラミング(配管排水)の検査、電気系統の検査と、それぞれ専門部署の検査官が見に来るわけですから、簡単ではありません。

 

 

 

もちろん、親切に同時に見に来てくれるわけではありません。

 

 

つまり、えらく時間がかかります。

 

 

プラミングはOKしたけど、電気の検査が検査官がバケーションに行ってしまったから二週間は戻ってこない(その間待たされる=工事が進まない)

 

 

 

全体の検査官はすべての書類がそろっていないと、建築検査合格証であるCertificate of Occupancyを発行してくれない。

 

 

 

もちろん、これらの許可を取るには費用も掛かります!

 

 

 

なるべく許可を取らずに改装をしたい。(スピードアップと経費節減のため)という気持ちもわかりますが、Buidling Departmentは壁に耳あり障子に目ありなだけではなく、ご近所からの通報も実際あるんです!

 

 

 

許可を取って工事をしている現場では、許可証が通りに面してわかりやすいところに掲示してあるため、無許可の工事をこそこそやっているというのは、ご近所から通報されてしまうこともあります。

 

こんな感じの許可証が窓に貼ってあれば、
許可を取って工事をしているということになります

 

 

このようなプロセスを経て、ローカルコードに適った安全な建物が出来上がるわけ(はず)です。

 

 

多くの建物が建築後数十年以上経っている当地では、建物自体のCertificate of Occupancyは新築時のものですからとても古く、Building Departmentの一軒ずつのファイルに保管されています。とても重要な書類ですが、どこの町のBuilding Departmentでも、ぴら~っとファイルに適当に入っています。

 

 

 

家の売却の時には、これがちゃんとファイルに入っていることを確認することはとても重要です!!避けて通れないものです。

 

郊外住宅は築100年近辺の物件も多く、Certificate of Occupancy (C of O)制度が出来る以前で、C of Oのない住宅も多々あります。

 

 

この場合、Pre-Date Letterというものを取らなければなりませんが、調べ始めると現在のコードに見合っていない部分があったり、少々やっかいです。(本件はまた別途)

 

 

問題の倒壊した駐車場ビルは1926年には検査に合格したでしょう。でもその後のルーティーンのNYCの検査で2003-2013の間に4つの法令違反(改善しなければならない)を指摘され、そのうち3つは危険度高。天井板のひび割れでむき出しの杭、コンクリートの破片落下の危険などがあったそうですが、いやいや、その手の建物は他にも多そうなマンハッタン・ニューヨーク。

 

 

NYCのレストランの入口にある衛生グレード表示

 

駐車場などのビルにも建物の構造・電気設備・消防設備・エレベーターなどの安全性に基づいて、AからFまで(Aが最も安全・Fが最も低い評価)の建物安全評価表示がビルの入口やエレベーターホールに掲示されているそうですが、レストランのように誰でも知っている目立ち、わかりやすい表示や、オンラインで駐車場予約をするときもパッとわかるような、グレード(倒壊しやすい度合い?)の表示でもあれば、もっと安心して利用できるのではないでしょうか?

 

 

 

昨日の事故で亡くなられた駐車場スタッフの方のご冥福をお祈りするとともに、もうビル倒壊などという惨事が起きませんように........