買う家を決めたらすぐインスペクション・売る方もその対策を
日本的には師も走る年の瀬の12月。
気持ち的に「今年中に〇〇を終わらせなければ(汗)」
だったり
「あ~あ、まだクリスマスカードが送れていない(涙)」
「今日はギフト届けまわり~(汗)」
と騒いでいる声が聞こえてきます。
とても家を買うとか売るとか関係ない?こっちは「てんやわんや」
そうかと思いきや、意外にそうでもない。
2023年の動向は霧の中。でも例年だと不動産マーケットが動き出す「春」はもうすぐそこ。
ご家族が集まる季節こそ「家」のことをキチンと相談する機会と言われています。
そこで、今回は家の売買いの骨格が合意した後やってくるインスペクションなるもののお話をしたいと思います。
アメリカでは、家を購入する前にこのインスペクションをすることが一般的ですが、そのタイミングは地域で異なるようです。
ウエストチェスター, NY や グリニッチ, CTでは、オファーの合意がなされたら(つまりAOというステイタスになったら)すぐ、即、瞬時にインスペクションをすることが求められます。
同時に、不動産弁護士(売主側)が売買契約書を作成しますので(通常1~2日)買主はインスペクターに依頼して物件のインスペクションをします。
売主は買主側からのインスペクションの予定に合わせて、万障繰り合わせ家へのアクセスをOKする必要があります。
マーケットがスローな時は普通に呼吸してスケジューリング出来ますが、競争の激しい売手市場の場合は、髪振り乱し、はく息もゼイゼイとインスペクター探しをする必要があります。ぐずぐずしていると売主エージェントは黙っていません。
以前、家を買った人に聞いていたインスペクターに依頼したい。という特定の人がいても一週間先でないと空いていない場合も多いです。その間売主が待ってくれるか?と言うことになりますね。
何しろ、2022年5月位までの売主マーケットの場合は「じゃ、No inspectionっていう人にするよ」などと売主側は脅してくることもあり得るからです。
とにかく、ずるずるはよくありません。
買おう!借りよう!と物件を決めたら、その後のプロセスはスピードが命なのです。
その間、売主エージェントは他の買主候補に「合意したオファーがある。」ことを伝えなければならないため、「じゃぁやめよう。」と言って、もしかしたら二番手・三番手の購入希望者を確保しておけたかもしれないのに、そのチャンスを失うため、とにかく急がされると言うことなのです。
さて、いよいよインスペクションが始まりました。
家尾買造さん :「いやぁ緊張するなぁ。せっかく決めた家なんだけど大丈夫かなぁ?」
荘子 :「この辺りの家はいづれにしても古いので、大きな問題に注目してくださいね。」
・屋根の状態
・排管の状態
・カビなど健康上の問題がないか
・電気配線の状態
・シロアリなどのダメージがないか
・煙突や暖炉のダメージチェック
大きな問題のみならず、コスメティックなことや、簡単に直せる不具合でもインスペクターは指摘するものです。
荘子 :「クローズしたらその瞬間からすべての責任は新オーナー・買主である家尾さんに移ります。」
「インスペクションで気になる部分があったら、列挙して売主側との交渉についてご相談しましょう。」
「売主マーケットの場合は、インスペクションはするけれど、情報収集目的のみで、その後インスペクションの結果で値段の再交渉などはしない!」というオファーをしなければ勝ち目はないケースも多々あります。
「どの程度のことの修理・改善を売主に要求するか?はマーケットの状況にもよりますし、その問題にもよります。そこを上手にもっていくことは大切です。」
家尾さん: 「はい。荘子さんのアドバイス通りにします!」
インスペクターは外回りのチェックを始めました。
家尾さん: 「あっ、大変だっ!」「ああいうの、一体どうなるんですか?」
荘子 : 「雨漏りの原因になったり、サイディングが強風で飛んで行っても困りますね。」
「インスペクターさんが調査個書をまとめてレポートにしてくれます。」
「レポートは通常特別混みあっている時期でなければ3日以内にはEmailで家尾さんに届きます。」
逆に売主にとっては、インスペクションで指摘されそうな箇所は予め修理をしておいた方が事がスムーズに運びますね。
屋根はインスペクターがドローンを使って検査してくれます。
シロアリ検査は、別会社と組んでインスペクターが手配をしてくれる場合もありますし、そのインスペクターがしてくれる場合もあります。いづれにしても、Mortgageを取る場合は、シロアリやカーペンターアントなど物件にダメージを与える害虫がいないというレポートがなければ、ローンの申請が出来ません。害虫調査報告書はインスペクションの機会に受け取れるようにしましょう。
おやおや、この物件はシロアリ被害があるようですね。
家尾さん:
荘子 :「いろいろな解決法があります。」
「アメリカ国内では、中央部より東海岸や西海岸といった海に近いエリアではシロアリ被害がよく発生するそうです。」
「一貫の終わりとは思わないでくださいね。」「ちゃんと直してもらいましょう。」
その後、売主はシロアリ駆除業者によるSentriconsの設置をして、報告レポートと数回の定期検査/処置を約束しました。
そのレポートをMortgage 会社に提出することになります。
築100年の家が乱立するニューヨーク郊外ですから、インスペクションで発見された不具合は何らかの解決方法が見つかるものです。
また、そのノウハウが蓄積されているアメリカでもあります。
エージェントは数えきれない程のインスペクションに立ち会っていますから、ご心配なことがあったら何でもご相談ください。ある程度腹をくくることも必要ですが、もやもやした気持ちでクローズすることがあってはなりません。
クローズしてすぐ水漏れが起きても、それは買った新オーナーが対応しなければならないことで、旧オーナー(売主)は何もしてくれません。
いわゆる瑕疵担保責任というものは、当地の通常の住宅不動産取引にはありませんから、インスペクションが重要になってくるわけです。
売主と買主は敵ではありません。
売主エージェントと買主エージェントにしてもしかり。
一旦売買契約内容に合意をしたら、共にそのディールを双方納得の上で協力し完結する作業が必要です。
そして初めてウィンウィンのクロージングを迎えられるのです。
つづく